
成功事例の紹介
プロジェクトの背景
建築家から、セレクトビームの噂を聞きつけてのご相談。全国展開する家具量販店様より、大型の物流施設の建築計画があり構造設計料見積もりが欲しいとのことだった。 規模が大きいこともあり工事予算を抑えることが事業主様の第一優先の要望だった。
物件概要
構造種別:鉄骨造 階数:平屋建て(一部2階) 施工面積:74000㎡ 用途:大型物流施設
登場人物

A氏
(家具量販店 店舗開発担当者)

X建築家
(建築設計事務所)

田中社長
(さくら構造株式会社)

山田室長
(さくら構造株式会社)
内容
新しい物流施設を建設するにあたり、店舗開発担当のA氏は設計をX建築家に依頼した。 規模が大きいこともありA氏は工事予算を抑えるように上司から言われていた。 デザインよりも建築コスト削減が第一優先ということをX建築家に伝えたところ、数種類の建築工法で工事費比較を行うことになった。
さくら構造の想定鉄骨工事費比較結果
- セレクトビーム工法
- 14.5億円
- 一般工法(一般的な予想金額)
- 17.9億円
あきらかにセレクトビームが3億円程度安価になる結果をさくら構造として提案したが、これを見たX建築家からは「システム建築の正式見積を待ってから返答する。」とのことだった。 後日、X建築家から連絡が来たが、システム建築の鉄骨工事費がさくら構造で想定した場合のセレクトビーム工法より安くなるというものだった。
山田室長と田中社長は会社を飛び出し、X建築家の元へと向かった。
田中社長はX建築家が作成した比較資料を確認すると、たしかにシステム建築工事費が、さくら構造のセレクトビームより安くなっていた・・・・

山田室長
すいません、私にも資料を見せて下さい。
山田室長は見積もり内訳に目を通した。

山田室長
あれっ?これ建方費が入ってないのではありませんか?
システム建築工事金額から建方費がまるっと抜けた状態で比較していることがわかった。
※建方費:現場で鉄骨フレームを組み立てていく作業にかかる費用

X建築家
そして、建方費を足してみるとシステム建築は23.4億円となり、セレクトビームとの差が3億円ではなく8.9億円も大きくなることが分かった。

山田室長
気づいてよかったです。

X建築家
しかし、X建築家は構造設計料を気にしているようだった。 施主のことを考えるとセレクトビームになるが、設計事務所でさくら構造の設計費用を負担するのは重過ぎることがネックだったのだ。 たしかに、セレクトビームというさくら構造独自の工法を採用していることもあり、他社に依頼するより2倍程度の外注費が余計にかかることになる・・・そこで、田中社長はX建築家に提案した。

田中社長
この場合恩恵を受けるのは施主なのですから、施主に構造設計料を負担してもらってはどうでしょう?。 セレクトビーム工法を採用してもらえれば、構造設計料を加算しても施主の負担が軽くなるのは明確です。 システム建築も工事費と構造設計料がセットになっていますから、これと同じに考えられませんか?
施主が負担する鉄骨工事費と検討費の比較
- • システム建築(実際の見積もり)
- 鉄骨工事費 23.4億円 + 構造設計料 1000万円(基礎設計含まず) = 23.5億円
- • さくら構造の設計(セレクトビーム工法採用)
- 鉄骨工事費 14.5億円 + 構造設計料 2000万円 (基礎設計含む) = 14.7億円
- • 在来工法(一般的な相場)
-
鉄骨工事費 17.9億円 + 構造設計料 0円※ = 17.9億円
※ 在来工法の場合、構造設計料は建築設計事務所が負担し施主負担なし

X建築家
それができるなら、設計事務所としても外注費が削減できてありがたいですが、そのためには施主に納得してもらう必要がありますね。 まずは私の方で先日もらった提案書で事業主に説明してみます。

田中社長
ぜひよろしくお願いします。
後日、X建築家は事業主の店舗開発担当者A氏にこの話を提案したが、反応は厳しいものだった。

A氏
X先生、内容はよくわかりました。 たしかにこれならこのセレクトなんとか工法のほうがコストメリットがありますね。 でもこの設計料を当初とは別枠で社内稟議通すのは簡単じゃありませんよ。 それにさくら構造さんは今まで一度も直接取り引きないので、そこもハードルが高いです。

X建築家
それはたしかに理解できます。でもこれだけの工事費金額差がありますから、門前払いにはできないですよね? さくら構造とは私たちは長く付き合っていますので信頼できる会社です。 鉄骨量の数値も彼らならやると思います。

A氏
X先生がそういうなら信用しますが、上司がなんと言うか・・・結局最後は本当に工事金額が落ちるのか?って指摘は上司に言われます。 過去の削減実績とか、説得力のある資料をいただけませんか?

X建築家
わかりました。 では、数値の信頼度をあげた資料をもう一度作ります。 それで社内稟議をなんとか通してください。

A氏
わかりましたやってみます。
後日X建築家は山田室長に依頼し、共にさらなる施主提案資料として、セレクトビーム工法の設計前鉄骨数量と設計後鉄骨数量比較を過去の実績からピックアップして作成することにした。

X建築家
山田さん、資料の準備ありがとうございます。 この内容なら、施主も納得してくれるはずです。

山田室長
では、あとは施主への説明お願いします。 また何かお手伝いできることがあればご連絡ください。
X建築家はA氏のセレクトビーム工法の設計前鉄骨数量と設計後鉄骨数量比較結果を提出した。
後日提出した資料<セレクトビーム設計予測と設計終了後の鉄骨量誤差>
物件名 | 建設地 | 用途 | 層数 | 面積(㎡) | 構造 | Type | 積雪量(cm) | 設計前想定鉄骨量(kg/㎡) | 設計後実施鉄骨量(kg/㎡) | 誤差(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
某工場 | 栃木県 | 工場棟 | 1 | 957 | X:ブレース Y:ラーメン |
TYPE5 | 非多雪 | 49 | 47 | 4.08 |
倉庫・危険物棟 | 1 | 310 | X,Y:ブレース | TYPE5 | 非多雪 | 46 | 45 | 2.17 | ||
某ストア | 神奈川県 | 店舗 | 1 | 1010 | 純ラーメン | TYPE4 | 非多雪 | 42 | 40 | 4.76 |
某ストア | 千葉県 | 店舗 | 1 | 760 | X,Y:ブレース | TYPE5 | 非多雪 | 42 | 41 | 2.38 |
某施設 | 沖縄県 | 体育館 | 1 | 3967 | 純ラーメン | TYPE1 | 非多雪 | 49 | 50 | -2.04 |
某倉庫 | 北海道 | 倉庫 | 1 | 1692 | X:ブレース Y:ラーメン |
TYPE5 + TYPE4 |
100 | 67 | 65 | 2.99 |
倉庫 | 1 | 341 | X:ブレース Y:ラーメン |
TYPE5 + TYPE4 |
100 | 76 | 75 | 1.32 | ||
倉庫 | 1 | 1425 | X:ブレース Y:ラーメン |
TYPE5 + TYPE4 |
100 | 63 | 60 | 4.76 | ||
某店舗 | 長野県 | 店舗 | 1 | 1129 | 純ラーメン | TYPE4 | 150 | 81 | 79 | 2.47 |
某マンション | 埼玉県 | 共同住宅 | 3 | 865 | 純ラーメン | TYPE4 | 非多雪 | 59 | 58 | 1.69 |
某老人ホーム | 大阪府 | 特老 | 3 | 2400 | 純ラーメン | TYPE4 | 非多雪 | 65 | 64 | 1.54 |
某社屋 | 岐阜県 | 事務所 | 4 | 625 | 純ラーメン | TYPE4 | 非多雪 | 78 | 80 | -2.56 |
某マンション | 大阪府 | 共同住宅 | 6 | 780 | 純ラーメン | TYPE4 | 非多雪 | 75 | 73 | 2.67 |
某事務所ビル | 大阪府 | 事務所 | 6 | 4600 | 純ラーメン | TYPE4 | 非多雪 | 90 | 85 | 5.56 |
※提案時と実施設計で計画や仕様が大きく変わったため実施時鉄骨が増えた案件があります。

A氏
設計予測精度が高いですね。 工事金額が落ちることについては安心しました。 ですが、やはりさくら構造は新規取引ということもあって事務手続きが煩雑で、しかも今回設計工期が無さすぎです。 今回は時間的な都合もあり、構造設計料をゼネコンの工事費に上乗せして支払う方が弊社としてはやりやすいです。

X建築家
わかりました。 では、ゼネコン各社には入札時に技術導入費として費目を追加させて工事見積書を提出するように伝えます。
そして、工法はさくら構造のセレクトビーム工法に決まった。 構造設計料についても施主との設計契約ではなく、工事費の一部として支払うことを施主(A氏)は納得の上で負担してくれることになった。

A氏
X先生、今回はコスト削減できる工法を提案してくれてありがとうございます。 実はこれから物流センターをどんどん増やしていく計画があるので、またX先生に設計をお願いしたいと思ってます。 引き続きお願いします。
成功の要因
この事例を振り返ると、3億円の工事費抑制にあたっていくつかのポイントがありました。
- 設計開始前に建築工法のコスト比較を行ったこと。
- 工事費の比較は難しく、建築家でも間違えてしまうことがあるが(今回は異なる工事範囲での金額比較となっていた)、建築家と構造設計者の良い連携で間違いを回避することができた。
- 新たに構造設計予算枠を設けるのは困難だが、構造設計費を工事費とする発想で建築工事費3億円が削減できる工法を採用することができた。
以上が、お値段以上にできたポイントです。
(建築工事費3億円削減)
田中社長
お手数かけます。資料を見せてもらえますか?